2012年9月2日日曜日

登山 in トムラウシ山 003

岩場ステージか…
トムラウシは変化に富んで、飽きのこない道だけど辛くない?急登後の岩場を若干トラバースぎみに進む。
モウロウとした意識の中で、なんとなくD氏についてゆく。足場の選択に気を使うし、踏み外せば大怪我をしそうだ。多数の老若男女とすれ違ったが、みんな器用に岩場ステージをクリアしていったんだろうなぁ…ってことは、俺も余裕で行ける?

一歩…また一歩…
誰だっ!!!!俺のザックを引っ張る奴は!!!
誰もいないか。

一歩…また一歩…
おのれ!!!ズボンの裾を引っ張る奴は誰なんだ!!!
誰もいない!!!

完全に心が折れて、しだいに不安定になってゆくオレ。



しっかし、珍しい動物とは思えないほどに、ナキウサギが登場する。
それは、シャッターを切る価値もないほどに。


ナキウサギが、あざ笑いながらコッチを見てる。
そして、スイッと岩場に隠れる。

ピチ!ピチッ!っという鳴き声が
ナキウサギA 「ゲス人間が登山を楽しんでいるね。クスクスッ!」
ナキウサギB 「崖に足をとられて、死せばイイのにね。クスクスッ!」
ナキウサギC 「みんな見てよ、あの人はゴミのようだ。クスクスッ!」



チッ!クソヤロウめ、憎いっ。

D氏は体調不良から脱したのか、グングン進んでゆく。
「オーイ、ナキウサギが居るよー!」
「おっ!あそこにも居るよー!」パチパチ写真を撮っている。
それはそれは元気になって何よりだ、ついでに貴様も憎いっ。


岩場ステージを超えて、ハイマツ帯を登ると前トム平。
出ました”平”マニアとしては、秀逸な場所。(かたくなにシャッターは切らない」
吹きっ晒しで、風が涼しいし歩くのも楽だし言うこと無いね。

この先、何キロあるのか何時間かかるか考えるのはよして、休憩に入る。
休むと二度と立ち上がることを許さない心と体。

D氏「さぁ、次はトムラウシ公園だ行こう!!」
おれ「フェイッ…」

ノロノロと歩き始め、ただ付いて行くだけの肉ロボットは無表情で吹きっさらしステージをあとにする。


前トム平から程なくしてトムラウシ公園に到着。

公園といっても、ブランコとかシーソーとかあるのではないし、用務員的な人が環境整備をしているのではないし、街灯やベンチや公衆便所があるわけではない。

あたかも公園的な様相をした自然の一画でありながらも、人工的に整備されたのごとく花畑や岩や池が見事に配置されている場所のことだった。

いままでに、こんなに綺麗な場所があっただろうか?いやない!
プロの園芸家が生涯を賭して完成させたジオラマの中にいるような感覚で、まるで現実感が無い。


楽園で、リス君も何かの実を食べている。

ふと、10分くらい前に自分は死んでいて、いわゆる三途の川的な場所に居るのではないかという錯覚に見舞われるくらいだ…綺麗なお花畑の向こうへ行くと、もう戻ってはこれない感覚。こんな素晴らし



オッサン「ハーッハーッ!ゼーッゼーッ!上りルート間違っちったwww」

真下の岩場から、突然のオッサン登場!

D氏「本当はアッチ側からですよね?上りツラかったでしょ?www」

おれ(なにこの少しイラッとする死にたい感じは、あぁ~っん?生きているんだな…おれ…)

よっしゃ!絶景ポイントとばかりにカメラを出して撮影を始めるが、50mm単焦点の画角の狭さが災いして、地獄のような風景が映し出されていた。



違う!違うんだっ!オレが悪いんじゃない、この壮大な風景が悪いんだっ!
仮に1mm単焦点があったとしても、これを撮して伝えるのは難しいんだ。



思い出補正がかかって、余計に悔やまれる。いま決めた、来年もココに来よう。




それよりもメシだよ。
前トム平で昼になっていて、D 氏に飯にしましょうよ♪
とオソルオソル提言し、無視されてから1時間近く経っている。

おれ「腹減った〜〜〜、飯にしましょうよ〜」

D氏「トムラウシ公園の下の方で、良さ気な休憩ポイントがあるわけさ。昼はわかってるよ。君の気持ちもわかってるよ。そこで飯にしようとオモッテ…イタ…ワケサ…。ユーは僕の気持ちをアンダスタンド!!??」

おれ「アンダスタンドっす。。。」




彼の言う、良さ気なポイントとやらへ着き昼食へ。
確かに休むにはもってこいの場所だと満足していたところに

D氏「実は、やっぱり胃腸が調子悪くて食欲ないんだわ〜www」
  「メシ食わなくてもイイ感じなんだよね〜w」

おれ「!!!!!!?????」

無言でも黙々と、コンビニで購入したおにぎりと卵焼きを頬張る。
旨いな〜、山っていう調味料は何にも代えがたい!
食の細いおれでもモリモリ食べる。

さて、時間もかなり押しすぎてきたので早々に出発だ。
楽園散策ステージを後にして、南沼キャンプ指定地ボーナスステージへと向かう。

コマドリ急登ステージを終えた我々にとって、多少の上りにはメゲなくなってきたが、次に飽きという心の闇が襲いかかってきた。

辛くはないが、単調な道で色々なことが気にかかる。
リュックが重いとか、ジュース飲みたいとか余計なことを考える。

ぼんやり歩いていると、再びD氏の様子が…

D氏(ゴフォッ…)
  (オウェ〜〜〜〜〜〜ッ!ペッペッ!ペッ!)
  「コンビニおにぎりがキたわ。オエッ!」
  「リュック重〜いっ、行程長〜い…」

思うことは同じらしい。

あの丘を超えたら、キャンプ指定地だ!違う
次こそ丘を超えたら、キャンプ指定地だ!違う

無限にも思える時間を幾度と無く繰り返してボーナスステージにたどり着く。


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